お茶染Washizu.について
静岡の伝統的な駿河和染で染職人として5代目の鷲巣恭一郎氏が、静岡ならではのものづくりを目指し、静岡の特産品である「お茶」の製造工程で出る商品にならなかった部分を染料として使う「お茶染め」を生み出し、「型染め」の技術を組み合わせて生地を染めています。さらに、染料として煮出した後の茶殻は肥料として加工されることで循環させる仕組みもつくりあげました。鷲巣氏は染色技術を普及し、地域で取り組める循環型のものづくりを目指しています。
お茶染めの工程
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01.生地を染める
お茶の製造工程で出る茶葉や、さまざまな理由で商品にならなかった茶葉をたっぷりと使い、時間をかけて煮出します。煮出している途中で茶葉を木綿の布で濾すことで、染めムラの原因となる余分なカスを取り除きます。
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02.煮染め
十分な堅牢度を実現するために、厳密な温度管理をしながら丁寧に生地を染めます。煮出した茶葉を濾して鉄分を添加した後に生地を投入して、少しづつ温度を上げながら煮続けます。この時間と手間のかかる作業を十分な発色が得られるまで繰り返します。
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03.型紙づくり
下図と言う模様やデザインを考えます。連続的につながる文様デザイン、モチーフを描くデザインしてつくりたいモノや描きたいイメージを下図としてつくります。型紙に下図をトレースして型を彫ります。この作業は、特に品質の良し悪しに直結するとても集中力の必要な作業です。
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04.糊置
お茶染めで染められた生地の上に型を敷きます。そしてチタン糊をその型の上から適度な厚みで均等に糊をのせる「糊置」をします。次に、ゆっくりと型を生地から外します。
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05.蒸す
糊置きで生地につけた糊を充分に発色させるため、熱い蒸気で20分程蒸します。
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06.水元
最後に、水にくぐらせる(洗う)ことで糊を取り除きます。
静岡の特産品であるお茶を使った持続可能な社会を
目指した染物
静岡は、布に関する地名が多く残っているように今川義元公の時代から織物と染色が盛んに行われてきました。明治時代に入り、織物も機械化が進み染物の仕事が減りましたが、大正時代の民藝活動によって人間国宝であり染色家の芹沢銈介氏が中心となり技やデザインを磨き駿河和染の特徴が生まれました。
この背景があるなか、鷲巣恭一郎氏は飲んで楽しむお茶に、お茶を使った独特の風合いの天然の染料という新しい息吹をもたらせました。お茶という天然の染料を使った染物は、ひとつひとつの工程が繊細な作業の積み重ねとなります。その積み重ねの中から丈夫で発色の良い染め上がりを追求した工程をつくりあげました。また、型染めによって、さまざまな模様やデザインもつくりあげます。
弟子入り体験スケジュール
このプログラムの内容は予告なく修正する場合もございます。ご了承ください。
1日目お茶染弟子修行と作品づくり
09:00 - 12:00 | 型紙の図案デザインを検討 |
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12:00 - 13:00 | 他の職人たちと一緒に昼食(各自用意) |
13:00 - 15:00 | 型紙づくり |
15:00 | お茶とお菓子で休憩 |
15:15- 16:30 | 糊おき |
16:30 | 掃除 |
2日目静岡の歴史文化体験
09:00 - 12:00 |
駿府城公園の巽櫓にて静岡の伝統産業が生まれた歴史の見学 駿府城の紅葉山庭園にて静岡を代表するお茶とその文化体験 |
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12:00 | 駿府匠宿にてお昼をとったあと静岡の伝統産業の体験 |
3日目お茶染弟子修行と作品づくり(続き)
09:00 - 12:00 | 糊おき |
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12:00 - 13:00 | 他の職人たちと一緒に昼食(各自用意) |
13:00 - 15:00 | 蒸す、洗う |
15:00 - 15:15 | 休憩 |
15:15 - 16:30 | 洗い、仕上げ |
16:30 | 掃除、終礼(完成のお礼) |
お茶染め Washizu.
製造工程で出る製品にならない部分の茶葉を染料として使用し、静岡の伝統工芸「駿河和染」の型染め技術で一点一点手作業で仕上げていく、お茶染めの工房。染めるアイテムは手拭いやTシャツなど生活に馴染みのあるものから、遠州刺子生地を使用したクラッチバッグなど幅広く制作している。 https://www.ochazome-shizuoka-japan.com/